ステンレスとは?種類と特性を徹底解説|代表的なSUS材の特徴と用途

ステンレスとは?種類と特性を徹底解説|代表的なSUS材の特徴と用途

ステンレスとは、鉄にクロムやニッケルを加えて耐食性を高めた合金鋼の総称です。その優れた耐食性と強度から、建築、食品機械、医療機器、化学プラントなど幅広い分野で使用されています。本記事では、ステンレスの種類と特性を体系的に解説し、代表的なSUS材の違いや用途、選び方のポイントまで詳しく紹介します。

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目次

1. ステンレスとは何か

ステンレス(Stainless steel)は、名前の通り「さびにくい鋼材」を意味します。通常の鉄は空気中で酸化して赤さびが発生しますが、ステンレスはクロム(Cr)を10.5%以上含むことで表面に「不動態皮膜」と呼ばれる非常に薄い保護膜を形成し、腐食から金属を守ります。

また、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、マンガン(Mn)などを添加することで、耐食性や強度、加工性が向上します。代表的なステンレス鋼は「SUS304」「SUS316」など、JIS規格のSUS記号で表記されます。

1-1. 不動態皮膜の役割

不動態皮膜とは、ステンレス表面に形成される酸化クロムの極薄膜です。この皮膜は化学的に非常に安定しており、外部から傷がついても自然に修復されます。この自己修復作用こそが、ステンレスがさびにくい理由です。

1-2. ステンレスの基本特性

  • 耐食性:鉄に比べてさびにくく、特に湿気や酸性環境に強い。
  • 強度:炭素鋼よりはやや低いが、十分な強度を持つ。
  • 加工性:板金加工や溶接が可能。
  • 衛生性:食品や医療分野で重視される。

2. ステンレスの主な種類

ステンレスは成分や組織の違いによっていくつかの種類に分けられます。代表的な分類は以下の通りです。

種類 主成分 特徴 代表鋼種 主な用途
オーステナイト系 Cr + Ni 非磁性、加工性良好、耐食性に優れる SUS304, SUS316 食品機械、建築、化学装置
フェライト系 Cr主体 磁性あり、熱伝導性良好、コスト安い SUS430 厨房機器、自動車部品
マルテンサイト系 Cr主体(高C) 硬度高い、耐摩耗性あり SUS410, SUS420 刃物、タービン部品
二相系(デュプレックス) Cr + Ni + Mo オーステナイトとフェライトの混合組織、高強度 SUS329J4L 化学プラント、海水環境
析出硬化系 Cr + Ni + Cuなど 熱処理により高強度を実現 SUS630 (17-4PH) 航空機部品、精密機械
表:ステンレスの種類と特徴

2-1. オーステナイト系ステンレス

最も代表的なステンレスで、非磁性、優れた耐食性、加工性の良さが特徴です。特にSUS304は「18-8ステンレス」とも呼ばれ、幅広い用途に使用されます。さらにSUS316はモリブデンを添加し、塩害や化学薬品に強い特性を持っています。

2-2. フェライト系ステンレス

クロムを主成分とする磁性体のステンレスで、比較的安価です。耐食性はオーステナイト系に劣りますが、熱膨張が小さく、自動車排気系部品などに利用されます。

2-3. マルテンサイト系ステンレス

炭素量を増やすことで硬化処理が可能になり、刃物や耐摩耗部品に使用されます。ただし耐食性は限定的で、使用環境には注意が必要です。

2-4. 二相系ステンレス

オーステナイトとフェライトの特性を兼ね備えた高強度・高耐食ステンレスです。特に塩水や化学プラント環境での使用に強みを発揮します。

2-5. 析出硬化系ステンレス

熱処理で析出硬化させることにより、高い強度と耐食性を両立させます。航空機部品や精密機械に多用される高級ステンレスです。

3. ステンレスの特性

ステンレスには多くの優れた特性がありますが、用途に応じて長所と短所を理解しておく必要があります。

3-1. 耐食性

ステンレスの最大の特徴は優れた耐食性です。不動態皮膜が腐食を防ぎ、湿気・酸・アルカリ環境でも安定します。ただし塩化物(例:海水、塩素)には注意が必要で、SUS316のようにモリブデンを添加することで対策できます。

3-2. 機械的強度

炭素鋼に比べると強度はやや低いですが、十分な機械的特性を持ちます。特に二相系や析出硬化系は高強度が必要な場面で活躍します。

3-3. 加工性と溶接性

オーステナイト系は加工性・溶接性に優れます。一方でマルテンサイト系は硬化性が高いため、加工には工夫が必要です。

3-4. 耐熱性

フェライト系やオーステナイト系の一部は高温環境でも安定した特性を発揮し、ボイラーや排気系などで使用されます。

4. ステンレスの用途と選び方

ステンレスはその種類と特性に応じて最適な用途が決まります。

  • 食品機械や厨房機器:SUS304
  • 化学プラントや海水環境:SUS316
  • 自動車部品や安価な耐食材:SUS430
  • 刃物や耐摩耗部品:SUS420
  • 航空機や精密機械:SUS630

よくある質問

Q. ステンレスはなぜさびにくいのですか?

A. ステンレスはクロムを10.5%以上含むことで表面に「不動態皮膜」と呼ばれる保護膜を形成し、腐食を防ぎます。この皮膜は自己修復性があり、傷がついても自然に再生されます。

Q. SUS304とSUS316の違いは何ですか?

A. SUS304はもっとも一般的なオーステナイト系ステンレスで、加工性や耐食性に優れています。一方、SUS316はモリブデンを含み、塩害や薬品に強い特性を持ちます。用途の違いについてはSUS304とSUS316の比較記事をご参照ください。

Q. ステンレスの主な種類には何がありますか?

A. ステンレスは組織や成分によって大きく5種類に分類されます。オーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系、二相系、析出硬化系が代表的です。

Q. ステンレスを選ぶときのポイントは何ですか?

A. ステンレスの選定では、使用環境(湿気・塩分・温度)や必要な強度、コストを考慮することが重要です。食品機械にはSUS304、海水環境ではSUS316、刃物にはSUS420など、用途ごとに最適材があります。

5. まとめ

ステンレスとは、鉄にクロムやニッケルを添加して耐食性を高めた合金鋼で、種類ごとに異なる特性を持ちます。オーステナイト系のように耐食性が高いものから、マルテンサイト系のように硬度を重視したものまで多様です。用途や環境に応じて最適なステンレスを選定することが重要です。

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