ポリアセタール樹脂(POM)の特性・用途・種類を実務基準で完全解説|材料選定で失敗しないための決定版

目次
ポリアセタール樹脂(POM)とは|基本構造と樹脂分類
ポリアセタール樹脂(POM)は、正式にはポリオキシメチレン(Polyoxymethylene)と呼ばれ、結晶性が高いエンジニアリングプラスチックです。高い機械強度と摺動性を両立できる数少ない樹脂として、金属代替用途で広く使用されています。
- 結晶性が高く剛性が大きい
- 優れた耐摩耗性・自己潤滑性
- 吸水率が低く寸法安定性が高い
材料規格や基本物性はJISで解説されています。
なお、POMとMCナイロンの物性差については、「MCナイロンの物性と比重に関して解説」で詳しく解説しています。
ポリアセタール樹脂の主要な特性
機械的特性
POMは引張強さ・曲げ強さ・衝撃強さのバランスに優れることが最大の特長です。
| 項目 | 代表値 |
|---|---|
| 引張強さ | 60〜75MPa |
| 曲げ強さ | 85〜110MPa |
| 弾性率 | 2.5〜3.0GPa |
摺動特性・耐摩耗性
POMは無潤滑でも使用できるレベルの低摩擦係数を持ち、ギア・スライド部品・カム機構などに多用されます。
寸法安定性
吸水率は0.2%以下と低く、温湿度変化による寸法変化が非常に小さいのが特徴です。
耐薬品性
アルコール・油脂・溶剤に強い一方で、強酸・強アルカリには弱いため使用環境の確認が必須です。
ポリアセタール樹脂の種類|ホモポリマーとコポリマーの違い
ホモポリマー(POM-H)
結晶性が非常に高く、剛性・強度・耐疲労性が最も高いタイプです。
- 高剛性・高強度
- 耐クリープ性が高い
- 熱分解にやや弱い
コポリマー(POM-C)
ホモよりも耐熱劣化・耐薬品性に優れる安定型です。
- 耐加水分解性が高い
- 成形安定性が高い
- 機械特性はホモよりやや低い
ポリアセタール樹脂の主な用途分野
- ギア・歯車・プーリー
- ベアリング・スライドブッシュ
- 自動車ドアロック部品
- 精密機構部品・治具
- 食品機械部品
他樹脂・金属との比較
| 材料 | 比重 | 耐摩耗性 | 剛性 | コスト |
|---|---|---|---|---|
| POM | 1.41 | 非常に高い | 高 | 中 |
| MCナイロン | 1.15 | 高い | 中 | 中 |
| アルミ | 2.7 | 低い | 非常に高い | 高 |
ポリアセタール樹脂の切削加工特性
POMは切削性が良好でバリが出にくいため、旋盤・マシニング加工でも安定した精度が得られます。
- 切削速度:100〜300m/min
- 工具材質:超硬推奨
- 仕上げ代:0.2mm以下推奨
ポリアセタール樹脂選定で失敗しやすいポイント
- 高温環境で使用して軟化・変形する
- アルカリ雰囲気で加水分解する
- 潤滑不要と誤認して摩耗粉が発生する
- ホモとコポリマーの選定ミス
ポリアセタール樹脂の改質グレード
- ガラス繊維強化POM
- 摺動グレード(PTFE配合)
- 帯電防止グレード
よくある質問
ホモポリマーは高剛性・高強度・耐疲労性に優れ、機械的特性が最も高いタイプです。コポリマーは耐熱劣化や耐薬品性に優れ、成形安定性も高い安定型です。
POMはギア、歯車、ベアリング、スライドブッシュ、自動車ドアロック部品など、摩耗耐性や摺動特性が必要な部品に最適です。
POMは切削性が良好ですが、高温や過度な摩擦で変形することがあります。切削速度は100〜300m/min、仕上げ代は0.2mm以下が推奨です。
まとめ|ポリアセタール樹脂は「種類×用途×環境」で選定する
- 高剛性・高疲労用途 → ホモポリマー
- 耐久・耐熱安定重視 → コポリマー
- 摩耗対策重視 → 摺動改質POM
ポリアセタール樹脂の特性・用途・種類を正しく理解することが、金属代替設計の成功とトラブル防止の最短ルートとなります。

