C3604銅合金の化学成分と機械的性質を徹底解説

2025年2月7日

C3604銅合金は、さまざまな産業で広く利用されている材料の一つです。その優れた機械的性質と加工のしやすさから、電子機器や自動車部品、さらには建築材料としても重宝されています。しかし、具体的にこの合金がどのような化学成分で構成されているのか、またその機械的性質がどのように影響を与えるのかを理解している方は少ないのではないでしょうか。

この記事では、C3604銅合金の化学成分を詳しく解説し、その特性がどのように機械的性能に結びついているのかを探ります。特に、材料選びや加工の選択肢を考える際に欠かせない情報を提供しますので、関心のある方や実際に使用を検討している方にはとても役立つ内容となるでしょう。さあ、C3604銅合金の世界を深く掘り下げていきましょう！

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1. C3604銅合金　化学成分　機械的性質の概要

1-1. C3604銅合金とは

C3604銅合金は、主に銅を基盤とした合金で、特に加工性の良さから多くの産業で利用されています。この合金は、銅に少量の亜鉛とその他の微量元素を加えたもので、主に機械部品や電気機器に使用されます。C3604銅合金は、良好な耐食性、優れた機械的特性、そして非常に優れた加工性を持っています。そのため、精密な部品やねじ、バルブ、ポンプ部品などに広く使用されています。

1-2. C3604銅合金の化学成分の詳細

C3604銅合金の主要な化学成分は以下の通りです：

銅 (Cu): 主要成分で、合金の約60％以上を占めます。銅の高い導電性と耐腐食性がこの合金における大きな特性です。
亜鉛 (Zn): 約2.5～3.5%が含まれ、合金の強度を増し、加工性を改善します。
鉛 (Pb): 1.5～2.5%の範囲で含まれており、鉛は加工性を向上させ、特にねじや精密部品において優れた加工性を発揮します。
鉄 (Fe): ごく微量（0.35%未満）で含まれており、鋳造性を改善します。
その他の成分: 少量のアルミニウム（Al）、マンガン（Mn）、シリコン（Si）などが含まれる場合もありますが、これらは合金の特性に微細な影響を与える要素です。

この合金は、特に高い導電性や耐食性、加工性を求められる用途に適しており、機械加工が容易なため、複雑な形状を成形する際にも優れた性能を発揮します。

2. C3604銅合金　機械的性質の理解

2-1. 引張強度と降伏強度

C3604銅合金の引張強度はおおよそ 500～550 MPa の範囲であり、これは合金の強度を示す重要な指標です。引張強度は、合金が引っ張り力に対して耐えられる最大の応力を表し、部品が破断する前に耐えられる力を示します。

降伏強度は、材料が塑性変形を開始する前の応力の最大値を示します。C3604銅合金の降伏強度はおおよそ 200～250 MPa であり、これにより、引張強度と降伏強度のバランスが取れていることが分かります。このバランスにより、強度と加工性を両立した優れた材料となります。

2-2. 硬度と延性

C3604銅合金の硬度は、主にブリネル硬度（HB）で計測されることが多く、約 70～100 HB の範囲となっています。この硬度範囲は、合金が適度に硬く、磨耗に対しても耐性があり、加工が容易であることを示しています。

延性については、C3604銅合金は良好な延性を持ち、引張りや圧縮加工を行う際に優れた成形性を示します。延性が高いため、衝撃荷重や曲げ荷重に耐える性能が優れており、複雑な形状の部品にも適しています。通常、C3604銅合金は十分な延性を提供し、引張りや圧縮による変形に強い耐性を持っています。

2-3. C3604銅合金の機械的性質の比較

C3604銅合金は、同じような用途で使用される他の銅合金（例えば、C1100銅やC2800黄銅）と比較しても、特に優れた加工性と強度を持っています。例えば、C1100銅は純銅であり、導電性が高い一方で強度が低い傾向にありますが、C3604は強度が高く、また鉛を含むことによってより優れた加工性も提供します。

また、C2800黄銅と比較すると、C3604銅合金は耐食性において優れ、より厳しい環境下での使用に適しています。しかし、黄銅の方が若干強度が高いため、用途に応じて選択が必要です。C3604銅合金は、そのバランスの良さから、特に機械加工や精密部品において非常に高い評価を受けています。

3. C3604銅合金の用途と適用範囲

3-1. 工業用途

C3604銅合金は、その優れた機械的性質と加工性を活かし、様々な工業用途で使用されています。特に、自動車部品や精密機械部品において重要な役割を果たしています。高い強度と良好な延性を持つため、圧力を受ける部品や耐摩耗性が要求される部品に最適です。また、耐食性に優れることから、化学プラントや食品加工機器などの過酷な環境下でも使用されます。

3-2. 電気・電子機器への適用

C3604銅合金は、電気伝導性が良好であるため、電気・電子機器の部品にも広く利用されています。特に、コネクタ、端子、配線など、電気的接続が必要な部分に使用されることが多いです。また、C3604は加工が容易であり、微細な部品の製造にも適しています。優れた導電性と耐腐食性を兼ね備えているため、電気機器の寿命を延ばす効果もあります。

3-3. その他の用途

C3604銅合金は、その多様な特性を活かして、さらに幅広い分野で使用されています。例えば、航空宇宙産業や船舶部品など、高い強度と耐食性が求められる環境においても利用されます。加えて、装飾品や美術品などの製作にも用いられることがあります。特に美しい光沢を持つため、デザイン性が重視される部品にも適しています。

4. C3604銅合金の耐食性とRoHS対応

4-1. 耐食性の特性

C3604銅合金は、非常に優れた耐食性を持つため、過酷な環境でも長期間使用することができます。この合金は、特に湿気や塩分が多い環境での腐食に対して高い耐性を示します。例えば、海洋環境や化学工業施設などで使用されることが多く、腐食による劣化を最小限に抑えることができます。

C3604銅合金は、酸化被膜を形成しやすい性質を持ち、この被膜が合金表面を保護する役割を果たします。これにより、腐食の進行が抑制され、長期間にわたって安定した性能を維持することが可能です。そのため、C3604銅合金は外部環境に影響されやすい部品や、腐食による破損を防ぐ必要がある部品に最適です。

4-2. RoHS指令とC3604銅合金の適合性

RoHS（Restriction of Hazardous Substances）指令は、電子機器に使用される有害物質を制限するための規制であり、特に鉛、カドミウム、ヒ素、六価クロム、ポリ臭化ビフェニル（PBB）およびポリ臭化ジフェニルエーテル（PBDE）などが対象となります。C3604銅合金は、鉛を含有する銅合金の一種であるため、RoHS指令の適合には注意が必要です。

現在、C3604銅合金の鉛含有量は一定範囲内であり、電子機器や環境規制においてRoHS指令に準拠するためには、鉛含有量が制限値以下であることが求められます。RoHS指令を満たすためには、鉛を使用しない代替材料が必要な場合もありますが、C3604銅合金の鉛含有量を管理し、規制内で使用することは可能です。従って、RoHS適合が必要な製品に使用する場合、事前にその鉛含有量が規制値を超えていないか確認することが重要です。