真鍮の種類と特徴を完全解説|材質別の違い・用途・加工性まで実務基準で整理

真鍮とは何か|銅合金における分類と基本定義
真鍮(Brass)とは、銅(Cu)と亜鉛(Zn)を主成分とする銅合金の総称です。亜鉛含有量は一般に5〜40%程度で、この配合比率によって性質が大きく変化します。
真鍮は以下の特性から、機械部品・電気部品・建築金物・装飾品など非常に幅広い分野で使用されています。
- 優れた切削加工性
- 良好な耐食性
- 導電性・熱伝導性
- 美しい金色外観
JISにおける真鍮の材質記号は「C+数字4桁」で表記され、詳細な化学成分規定についてはJISで解説されています。
また、真鍮とよく比較される黄銅・青銅との違いについては、「真鍮と青銅の違いに関して解説」で詳しく解説しています。
真鍮の種類は「快削黄銅」「展延黄銅」「特殊黄銅」に大別される
真鍮は用途別に以下の3系統に大別されます。
快削黄銅
鉛(Pb)を添加することで切削性を極端に高めた真鍮です。旋盤加工・自動盤加工に最も多用されます。
展延黄銅
鉛を含まず、圧延・プレス・曲げ加工に適した塑性加工用真鍮です。
特殊黄銅
アルミ・鉄・錫などを添加し、強度や耐摩耗性を向上させた高機能真鍮です。
用途別の具体的な使い分けは、「真鍮材の用途別選定基準に関して解説」で詳しく解説しています。
代表的な真鍮の種類と特徴一覧
| 材質記号 | 分類 | 主成分 | 特徴 | 主用途 |
|---|---|---|---|---|
| C3604 | 快削黄銅 | Cu-Zn-Pb | 切削性極めて良好 | 精密部品、継手 |
| C2801 | 展延黄銅 | Cu-Zn | 塑性加工性良好 | 板金、プレス部品 |
| C2680 | 展延黄銅 | Cu-Zn | 強度と加工性のバランス | 端子、装飾部品 |
| C4641 | 特殊黄銅 | Cu-Zn-Sn | 耐海水性に優れる | 船舶部品 |
C3604(快削黄銅)の特徴と用途
C3604は最も使用量の多い快削黄銅で、鉛を約2〜3%含有することで、切削時に切りくずが細かく破断され、工具寿命も長くなります。
主な機械特性(代表値)
- 引張強さ:350〜500MPa
- 伸び:15〜30%
- 硬さ:HB80〜120
主用途
- 配管継手
- ねじ部品
- 精密機械部品
C2801・C2680(展延黄銅)の特徴と使い分け
展延黄銅はプレス・曲げ・深絞り加工を前提とした材料で、鉛を含まないため加工後の割れにくさと表面品質に優れます。
C2801の特徴
- 加工性と成形性のバランスが良い
- 価格が比較的安定
- 建材・板金用途向け
C2680の特徴
- C2801よりやや高強度
- 通電部品に適する
- 表面仕上がりが良好
特殊黄銅(C4641など)の特徴と用途
特殊黄銅は耐摩耗性・耐食性・強度を向上させた高機能材です。特にC4641(ネーバル黄銅)は耐海水腐食性に優れ、船舶分野で多用されます。
特殊黄銅の主特性
- 耐海水性
- 耐応力腐食割れ性
- 高強度
真鍮の機械的性質と他金属との比較
| 材料 | 引張強さ | 比重 | 加工性 |
|---|---|---|---|
| 真鍮 | 350〜500MPa | 8.4 | 非常に良好 |
| アルミ | 200〜450MPa | 2.7 | 良好 |
| 炭素鋼 | 400〜800MPa | 7.85 | 普通 |
この比較からも分かる通り、真鍮は強度と加工性のバランスに優れる材料であり、軽量化が不要な精密部品では最適解になりやすい素材です。
真鍮の種類選定で失敗しやすいポイント
- 切削用途でC2801を使用してしまう
- 鉛含有によるRoHS規制への配慮不足
- 屋外使用で耐食性を過小評価する
- 強度不足による塑性変形
とくに電気・水回り・食品関連では鉛レス材指定が求められるケースが多く、材質誤選定がそのまま不適合・再製作につながります。
真鍮の表面処理と耐久性への影響
真鍮は表面処理によって耐食性・外観・摩耗性を大きく改善できます。
- ニッケルメッキ:耐摩耗・耐食性向上
- クロムメッキ:高意匠性
- 無電解ニッケル:寸法精度維持
ただし、メッキ前の脱脂・酸洗い工程の品質が仕上がりの8割を左右します。
よくある質問
まとめ|真鍮の種類と特徴は「用途基準」で選定するのが最適解
真鍮は一括りにされがちですが、実務上はC3604・C2801・C2680・C4641など用途特化型の材料群として明確に使い分ける必要があります。
- 切削重視 → C3604
- プレス・板金 → C2801・C2680
- 耐海水用途 → C4641
真鍮の種類と特徴を正しく理解し、用途・加工法・環境条件に応じた最適材質を選定することが、品質安定・コスト削減・不良防止の最短ルートとなります。

