ねじの規格一覧と種類|JIS・ISO・UNCの違いと選び方を徹底解説

ねじの規格一覧と種類|JIS・ISO・UNCの違いと選び方を徹底解説
機械設計や部品加工の現場では、ねじの規格を正しく理解していないと、組み立て不良やコスト増につながるケースがあります。特にJIS、ISO、UNCなどは似ているようで寸法やピッチ、互換性に違いがあるため、用途に応じた適切な選定が重要です。この記事では、主要なねじ規格の種類と特徴、選定時の注意点を実務者・エンジニア目線で詳しく解説します。
ねじ規格の基本|なぜ規格を理解する必要があるのか
ねじ規格は、製造・設計・保守において部品の互換性を確保するために定められています。規格が統一されていなければ、同じ部品でも組み立て時に干渉や緩みが発生し、品質不良の原因になります。特にグローバル生産では、JIS(日本)、ISO(国際)、UNC(米国)といった規格の差異を理解することが求められます。
JISのねじに関する詳細な基準はJIS公式サイトに掲載されています。
主要なねじ規格一覧と特徴
世界的に使用されている代表的なねじ規格には、以下のような種類があります。
規格名 | 主な用途 | 特徴 |
---|---|---|
JIS | 国内製造業 | 日本工業規格。精密部品や機械構造に広く使用。 |
ISO | グローバル製造・輸出 | 国際規格。各国での互換性が高い。 |
UNC/UNF | 米国系機械・輸入品 | インチねじ規格。粗目と細目があり用途で使い分け。 |
これらの規格は、呼び径、ピッチ、ねじ山形状、ねじ部長さなどに違いがあります。ISOとJISでは似た規格もありますが、UNCはインチ系のため、互換性がないケースが多いです。実務では、組立工程や購買ルートを考慮して規格を統一することが重要です。
ISO規格の詳細はJIS(ISO対応)公式サイトで確認できます。
JISねじ規格の種類と分類
JIS規格ではねじをメートルねじと管用ねじに大きく分類しています。
- メートルねじ(Mねじ):機械設計・製造の標準規格
- 管用ねじ(PTねじなど):配管や圧力容器に使用
また、JISではねじ精度を「粗目」「細目」に分類し、用途ごとに推奨の組み合わせが規定されています。
ISOねじとJISねじの違い
ISOねじとJISねじは基本的な山形が同じであり、多くのサイズで互換性がありますが、ピッチや許容差など一部で違いがあります。特に輸出入製品や海外部品を扱う場合、この差異を理解せずに設計を進めると、締結不良やコスト増の原因になります。
項目 | JIS | ISO |
---|---|---|
呼び径 | M(メートル) | M(共通) |
ピッチ | 粗目・細目 | 粗目が主流 |
精度区分 | JIS 6g/6H | ISO 6g/6H(共通) |
このようにISOとJISは互換性が高いものの、設計段階で統一しておくことで生産コスト削減や品質安定につながります。
UNC/UNFねじ規格の特徴と注意点
UNC(ユニファイ並目)およびUNF(ユニファイ細目)は、米国で使用されるインチねじ規格です。UNCは耐久性が高く、粗目のため組立性が良好で、UNFは精密機器などに多く採用されています。
- UNC:一般機械・建設・自動車などで使用
- UNF:航空機・精密部品などで使用
UNC/UNFとJIS・ISOではピッチ単位そのものが異なるため、互換性はありません。輸入機械部品を扱う場合は、規格の違いを正確に把握しておくことが必要です。
ねじ規格選定時の注意点と現場での実践
規格選定を誤ると、加工コストの増加や在庫の複雑化、組み立て時の不具合が発生します。以下のポイントを押さえることが重要です。
- 生産拠点の地域と調達先の規格を統一する
- 輸出入の有無を踏まえてISO対応を検討する
- メートルとインチを混在させない
- 規格変更時は治具・工具類の更新も考慮する
現場では、規格管理を体系的に進めることで、在庫管理や品質保証体制を大幅に改善できます。
よくある質問
まとめ|ねじ規格を理解し、設計と調達を最適化する
ねじの規格を理解することは、設計・製造・品質保証のあらゆる工程で大きなメリットをもたらします。特にJIS・ISO・UNCといった主要規格の違いを把握しておくことで、国際的な生産体制や多品種少量生産にも柔軟に対応できます。
規格の違いを理解した上で最適なねじを選定することで、コスト削減・品質向上・生産性向上が実現可能です。